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ZOOMハイブリッドセミナー サポートサービス

ZOOMを使ったオンラインミーティングはもはや特別なものではなくなりました。仕事だけでなく趣味や地域活動にもどんどん利用されるようになって来ました。ネットにつながる端末があって、基本操作ができる人であれば、誰でも、無料(3人以上は時間制限あり)で開催したり参加することができます。
ZOOMは、事情があって外出しづらい人たちが、ミーティングやセミナーに参加したり情報交換をすることを容易にしました。
そのような状況下、リアルに集まってミーティングをしたい人は会場に出かけてゆき、オンラインの方が都合が良い人は自宅からオンラインで参加できるというように、リアルとオンラインをミックスした、ハイブリッドセミナーを開催したいというニーズが増えてきました。
オンラインだけでセミナーをする場合には、主催者側でも参加者側でも基本的なZOOM操作はさほど難しくありませんが、ハイブリッドセミナーを開催するとなると、端末以外にも設備や機器が必要になったり、主催者側のスタッフの役割分担を明確化、端末の設定やZOOMの特質を理解した上での設定・操作等の工夫が必要になったりします。
ここでは、最近お手伝いをした団体のZOOMハイブリッドセミナーの事例をベースに、開催のポイントをご紹介したいと思います。
ZOOMハイブリッドセミナー事例
会 場
地域活動センター等の公的集会場の会議室
参加者
特定の団体 会場参加:20名程度 オンライン参加:10名程度
会場備付設備
会議卓 黒板 ホワイトボード 大型テレビ プロジェクター アンプ・スピーカー・マイク
主催者持込機器
パソコン:3台(講師1台、主催スタッフ2台) ポケットWIFI:1台 集音マイク:1台 HDMIケーブル:1本 電源延長コード:1本
当方持込機器
パソコン:1台 USB延長コード:1本 電源延長コード:1本 スマートフォン:1台(モニター用)
セミナー・ミーティング内容
全体90分
前半50分:講師によるプレゼン
10分休憩
後半30分:会場参加者及びオンライン参加者との質疑応答
スキル
主催者スタッフ 2名(十分なパソコンスキル有、ハイブリッドZOOMセミナー主催経験なし)
講師
ZOOM操作のスキルあり
■ハイブリッドセミナー開催時の重要ポイント■
ZOOMのオーディオ入出力を1か所(1端末)に集約することです。そうでないとパソコンの音声がハウリングを起こしてしまいます。ハイブリッド開催の肝は、いかにハウリングを防止して、ZOOM音声配信の質を確保するかに尽きると言っても過言ではありません。この観点から、セミナーをサポートしました。
1.会場の下見とリハーサル
本番の1か月ぐらい前に、主催者スタッフと会場の下見に行って設備を確認し、下記のような大まかな方針を立てました。
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会場はさほど大きくないので、会場ではマイク・アンプ・スピーカーを使わずに肉声でプレゼンする
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持込パソコン 講師1台(講師持込)、主催者2台(ZOOMサポート(当方)1台)
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大型テレビは講師資料投影と質疑時のオンライン参加者表示用に使用、オンライン参加者の音声もテレビスピーカーから講師や会場参加者に届ける
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主催者側は有料のZOOMライセンスを持っていないので、本番では講師のZOOMライセンス(有料版)を使用させてもらう。
この時点では本番で使用する集音マイクはまだ入手できていなかったため、マイクの性能(音質、集音距離)は確認できず、テレビとの接続テストもできなかったため、この状態で本番に突入するには大きな不安ありました。そこで、下見後、自宅事務所でシミュレーションを行い、その後、主催者スタッフとZOOMで打ち合わせを行いました。
自宅事務所では、パソコン3台とスマホをZOOMでつなぎ、会場と同じ環境を作って色々テストしてみたところ、ホスト以外のパソコンの音量を最小にし、マイクをミュートしても、何故かホスト以外のパソコンが音を拾ってハウリングを起こし、キンキン鳴って収集がつかなくなってしました。机の表面に硬いものが当たっただけでもキンキンとハウリングします。
ZOOMのハウリングについて調べて見た結果、わずかでも音の届く範囲内で複数のパソコンを同じZOOM会議に接続すると、どうやってもハウリングから逃れられないことが判明しました。ただ、セミナーの進行上、会場に複数のパソコンは必須なので、持ち込まないわけには行きません。
そこで、ホスト以外のPCはZOOMの設定で「コンピューターのオーディオから退出」し、ホストPCのみコンピューターのオーディオを使用する設定で運用すればハウリングしないことがわかりました。
集音マイクについては、後日、主催者スタッフとのZOOM打ち合わせで実際に使用してもらい、今回の会場の広さであれば、なんとか音は拾えることが確認できました。
事前のシミュレーションの結果最終的な機器構成・接続は次のように決定しました。
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講師:持込PCを使用 ホスト 講師の映像は講師のPCから配信するが、音声は講師のZOOMで「コンピューターのオーディオから退出」を設定し、主催者側PC2に接続した集音マイクから拾う。講師はホストではなく一人のオンライン参加者とする。
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主催者A:PC1を使用 共同ホスト USBで集音マイクを接続、HDMIケーブルでTVに接続 外部接続した集音マイクをZOOMで使用するように設定 TVはWindowsの拡張ディスプレイ設定でクローンを選択(パソコンモニターと同じ画面を映す)し、音声出力はTVを選択する。
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主催者B:PC2を使用 共同ホストとして入退出管理を行う。 ZOOMで「コンピューターのオーディオから退出」を設定
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サポート(私):PC3を使用 ZOOMで「コンピューターのオーディオから退出」を設定 パソコンに外付WEBカメラ(200万画素)を接続し、講師プレゼン中は会場内の様子を配信。会場内質疑では会場の発言者を撮影。
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モニタリング その他にスマホでZOOMに参加し、オンラインの画面の映り具合と音声をモニターする。小さなスマホで、共有資料がちゃんと読めるか、ZOOMの映り方に問題はないか、音量・音質に大きな問題はないか等、オンライン参加者の状態をモニタリング。

2.本番当日の運用状況
本番当日、主催者はミーティング開始の1時間前に集合し、準備を開始しました。ハイブリッドZOOMセミナーでは大なり小なり予期しない事態が発生するのが普通で、今回も準備段階でさっそく小さなトラブルが起きました。講師の了解を得て主催者A,Bのパソコンを共同ホストに設定しようとしましたが、設定メニューが出て来ません。講師のZOOMの設定で共同ホストが有効化されていなかったのが原因のようでした。講師が持っているZOOMライセンスでありセミナー開始まで時間もなかったので、共同ホストによる運用はあきらめて、講師から主催者Bにホストを変更してもらって運用することにしました。借り物ライセンスのリスクが表面化してしまいました。
もう一つ、私のミスで、モニター用のスマホは持ってきたものの、ヘッドセットを持ってくるのを忘れ、ZOOM配信状況の音声モニタリングができなくなりました。そこで、ZOOM配信状況の確認はオンライン参加者にチャットで依頼し、調子が悪かったらチャットで連絡してもらうようにしました。開始当初は順調でしたが、講師プレゼンの途中で、参加者の一人から「音声が聞こえない」との連絡が入りました。まもなく、「音声が回復した」との連絡が入りましたので、大きな影響は出ませんでしたが、スマホで映像・音声のモニタリングができていれば、原因が主催者側にあるのかオンライン参加者側の問題なのかすぐに切り分けられたはずで、今後くれぐれも忘れ物のないように注意しなければと、小学生のような反省事項が残りました。
パソコンでZOOMに参加するとき、スピーカービューに設定すると、話をしている人(マイク音声を拾っているパソコンのカメラ映像)の画面が大きく表示されます。今回の機器構成では会場の音声の入出力は主催者Aのパソコン(PC1)だけで行いますので、講師が話しているときでも、主催者Aの顔(PC2のカメラ映像)が大きく映り続けてしまうことになります。
ギャラリービューで見ている分には、主催者Aの画面の枠がグリーンになるだけなので、ほとんど支障はありませんが、オンライン参加者がパソコンのギャラリービューで見ているとは限りません。また、スマホで参加している人はデフォルトのスピーカービューで見ていると思われますので、スマホ参加者は講師ではなく主催者Aの顔を延々と見せられることになります。
そこで、ZOOMのホスト権限でスポットライトを使い、強制的に実際の話者(講師)を画面に大きく表示させます。これにより、会場に1つしかマイクがないため、実際の話者とZOOMが認識した話者との映像のズレを修正します。
会場参加者から質問があった場合は、PC3のWEBカメラを質問者に向け、スポットライトをPC3(サポート)に切り替えれば、オンライン参加者は質問者の姿を見ることができ、臨場感が高まります。
3.今後の課題
本番を終えていくつか課題が見えてきたので、整理してみます。
拡声機(アンプ・スピーカー・マイク)を使用する場合
今回の会場は小さくて会場参加人数も少なかったので、講師のプレゼンテーションや会場参加者との質疑応答はマイクを使わず、肉声で済ませましたが、大きな会場で大人数のセミナーであった場合、拡声器(アンプ・スピーカー・マイク)を使用しなければならないでしょう。その場合、今回使用した機器では対応できませんので、別途機器を準備しなければなりません。
オーディオインターフェースの導入
拡声機(アンプ・スピーカー・マイク)をZOOMと連携させて使うためには、オーディオインターフェースという機器が必要になります。
オーディオインターフェースは名前の通り、パソコンと音響機器(拡声器等)を接続する機器です。この機器にアンプ、スピーカー、マイクを接続すれば、会場には拡声音声を届け、同時にオンライン参加者には会場の音声を配信することができます。
オーディオインターフェースは安いものであれば1万円台で購入できます。
(下の写真はオーディオインターフェース例)

オーディオンターフェース
自前のZOOM有償ライセンス
ZOOMセミナーに参加する場合、使用方法はそれほど難しくありません。何度か経験していくうちに多くの人はすぐに慣れると思います。反面、ZOOMセミナーを主催する場合は、ZOOMの機能や操作方法に習熟しておく必要があります。ZOOMは頻繁にバージョンアップされますので、注意して新機能を確認しておかなければなりません。
今回のセミナーでは講師のZOOMライセンスをお借りしましたが、バージョンアップされていなかったせいなのか、共同ホストの設定ができなかったり、マルチスポットライトの機能が使えなかったりしました。
ZOOMのライセンスは1ヶ月単位で2,200円(税込み)から申し込めますので、セミナー開催日の1ヶ月前に契約し、終わったら一旦解約すれば費用を節約できます。
会場映像配信カメラ
今回の会場では、簡易な焦点距離固定のWEBカメラを使いましたが、焦点距離が変えられるズーム機能付きWEBカメラを使えば、会場参加者の表情を大きく捉えることも可能になります。高画質・高倍率を求めるのであれば、ビデオカメラを接続することになります。
コンパクトデジタルカメラの中には、HDMIケーブルでパソコンに接続して、WEBカメラの代わりに使えるものがあります(ソニーのコンパクトデジカメ)ので、これを使えば会場内の人物をズームアップしてクローズアップで捉えることも可能です。デジカメとパソコンはキャプチャーボード(アダプター)を介してHDMI接続することになります。
最近のレンズ交換式一眼(レフ)デジタルカメラの中には、メーカーがWEBカメラとして使えるようにパソコンソフトを提供しているものもありますが、カメラ自体が大きくて重い上、長時間連続して使用する場合、デジカメ用のACアダプターも別途必要になりますから、プロ並みの画質での映像配信をしたいのでなければ、ここまで凝る必要はないでしょう。
リハーサル/ZOOM設定/操作シナリオ
どんなセミナーでもそうですが、通常、本番は1回限りで簡単にやり直すことはできません。大きな会場で大人数を集め、オンラインでも数多くの人が参加するということになれば尚更です。共有画面の設定に手間取る、たまに音声が切れるなど小さなトラブルはまだしも、致命的なトラブルは避けなければなりません。音響装置が全く使えない、通信機器の不調でオンライン配信が全くできないなどは絶対あってはいけません。
致命的なトラブルを避ける一番良い方法は、綿密なリハーサルを行うことに尽きます。本番で使用する機器を全部実際に接続して、問題なく使用できるかを確認します。会場備え付け機器を使用する場合はなおさらです。手持ちの機器と会場の設備を接続しようとしたら、ケーブルの規格が合わない、長さが足りない、音声出力レベルが合わない、プラグが合わないということは日常茶飯事です。
電源の位置や、ケーブルの長さ、ジャックの直径・極性等、会場で試してみないとわからないことはたくさんあります。ZOOMのテストも必須です。会場にモバイルルーターを持ち込んだ場合は、会場内に電波が十分届くか※、通信の残容量(ギガ)は十分かなどを確認すると同時に、実際に会場からZOOM配信してみて、オンラインでの音質や映像の品質を確認します。(※モバイルデータ通信を使用する場合、楽天モバイルなど高い周波数帯だけを使用するネットワーク機器の場合、会場内部まで十分電波が届かないことがあります。)
ハード面の確認が終わったら、ソフト面の準備に入ります。MC、プレゼン、休憩、質疑応答などの進行表を作り、進行に合わせたZOOMの操作シナリオを付け加えます。持ち込んだPCのオーディオ設定、進行フェーズごとのZOOMスポットライトの設定、画面共有の設定、音響機器、マイクのオンオフなど、できるだけ詳細に記述しておきます。
どんなに場馴れした人でも、本番になれば多少は緊張し、操作がわからなくなる場合があります。シナリオをきっちり記述しておけば、どんな状況でもトラブルを最小限に抑えることが可能になります。
上記の課題を踏まえた、大会場でZOOMハイブリッド会議の機器接続図はこのようになります。

ZOOMハイブリッドセミナーサポートサービス
ときわグリーン・ネットではZOOMハイブリッドセミナーをしてみたいが、パソコンやZOOMに詳しい人がいないため、どうやればよいかわからないという中小企業、団体、個人事業者のためのサポートサービスを提供しています。
サポートサービス概要
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会場を使用したリアルのセミナーとZOOMセミナーの同時開催を一括支援
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会場下見、本番設営支援
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本番進行支援
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ZOOMライセンスのレンタル
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ZOOM操作支援
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必要機器レンタル
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WEBカメラ
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オーディオインターフェース
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主催者用ノートパソコン
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モニター用スマホ
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パソコン接続ワイヤレスマイク(ZOOM配信用)
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各種ケーブル(HDMI、オーディオ、USB)
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CDプレーヤー(簡易アンプ・スピーカー)
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※アンプ・スピーカーは原則として会場に備え付けのものを使用致します。
サービス費用 33,000円(税込)(会場下見、リハーサル、本番、機器レンタル費用を含む)
プロボノ※(無償提供)実施中(中野区及び近隣区限定)
地域貢献、社会貢献活動としてZOOMハイブリッドセミナーの開催を希望される非営利・非商用の団体(趣味・愛好家団体除く)につきましては、上記のサービスをプロボノ(無償)で提供いたします。お気軽にお問い合わせください。
※「プロボノ」とは、「公共善のために」を意味するラテン語「Pro Bono Publico」を語源とする言葉で、【社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや専門知識を活かして取り組むボランティア活動】を意味します。